食中毒の症状と予防策(I)

食中毒の症状や予防策について原因別に解説していきます

食中毒の原因物質は、細菌、ウイルス、自然毒などがあります。
これらの中で多くを占めるのが細菌です。細菌のなかで発生件数の多いものは、カンピロバクターやサルモネラなどです。
以前多かった腸炎ビブリオや黄色ブドウ球菌は最近は減少傾向にあるようです。
では、具体的に食中毒の症状や予防策を見ていきましょう。

サルモネラ食中毒

どんな場所に?

 サルモネラ属菌は自然界に広く生息しています。食材としては食肉や卵、うなぎ、スッポンなどが汚染原であることが多いです。また、ペットとして飼っているミドリガメから検出される事もあるようです。

症状

 ヒトの腸管で増殖することで発症します。症状は、下痢、発熱、腹痛です。重症化して死亡するケースもあるようです。

予防策

 鶏卵は新鮮なものを使用するようにして、保存する場合は冷蔵庫に入れましょう。食肉については、やはり十分な加熱で中心部までしっかり加熱します。
 また、食肉、鶏卵に使用した器具は十分に洗浄、殺菌を行ってください。卵の割り置きも避けるようにしましょう。

 

 

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腸炎ビブリオ食中毒

どんな場所に?

 海水中に生息しています。夏、海水温の上昇とともに多くなるようです

 

症状

 喫食後8〜24時間で発症します。症状は、下痢、腹痛、発熱、吐き気です。時として、粘血便となり激しい腹痛を伴う場合があるようです。

 

予防策

 腸炎ビブリオは真水に弱い性質なので、魚介類を水道水で良く洗浄することが重要になります。
 また10℃以下(刺身は4度以下)の温度管理が大変重要です。調理後はできるだけ早く喫食しましょう。
 また、使用後の調理器具の洗浄、殺菌も十分行いましょう。

ナグビブリオ食中毒

どんな場所に?

 河口付近の汽水域に生息しています。

 

症状

 症状は、下痢、嘔吐、発熱です。特に、激しい水様性の下痢を伴うことがあります。

 

予防策

予防策は、腸炎ビブリオと同様になります。

カンピロバクター食中毒

どんな場所に?

 多くの動物に生息しています。特に鶏の保菌率が高いようです。

 

症状

 潜伏期が長いのが特徴です。症状としては、水様性の下痢、吐き気、発熱です。

 

予防策

 食肉の衛生的な取り扱いが基本となります。調理後の器具や手指の洗浄、消毒も大事です。
 食肉は十分に加熱し生食は避けましょう。また、飲用水からの感染も報告されているようです。未殺菌の水の使用も控えましょう。

黄色ブドウ球菌食中毒

どんな場所に?

 ヒト、哺乳類、鳥類などに生息しています。健康な人でも鼻や皮膚で確認される事もあるそうです。
 傷が化膿を起こす原因菌の一つです。

 

症状

 毒素が生成された食品を喫食後2〜3時間という比較的短い潜伏期を経て、激しい嘔吐、吐き気に襲われます。
ときに腹痛、下痢を伴います。

 

予防策

  調理者の手洗いの徹底が基本となります。また化膿創のある人は調理に従事してはいけません。
 使い捨ての手袋、マスク、帽子を着用するようにしましょう。
 特に、手袋は別の食材に触れるときには取り替える習慣を付けましょう。
 さらに、温度管理の徹底、調理後の早めの喫食を心がけましょう。

 

 一度、毒素を生成すると加熱後、黄色ブドウ球菌は死滅しても毒素は残ります。
 ここでも、食中毒予防三原則、付けない、増やさない、殺すが重要になります。

ボツリヌス菌食中毒

どんな場所に?

 土や河川、湖底、海底など自然界の広く生息しているようです。農産物、畜産、魚介など多くの食品が汚染の可能性を有します。

 

症状

 初期段階では、胃腸炎を発症します。その後、さまざまな神経麻痺症状を引き起こしていきます。
 重症例をあげますと、呼吸困難を引き起こし死に至った例もあります。
 微生物の生成する毒素のなかでは、一番致死率の高いものになります。
 6か月未満の乳児にはちみつなどの未加熱のものを与えることで、感染する乳児ボツリヌス症もあり腸内細菌の整う前の乳児には注意が必要となります。

 

予防策

 芽胞という固い殻のような耐久器官を作るため、加熱は120℃で4分と非常に高温、長時間で加熱することが求められます。
 また、嫌気性の細菌であるため、ビン詰めや缶詰、レトルト食品などは注意が必要となります。

 

 袋詰め食品をレトルト食品と同じ様に常温で扱うことでの発生事例も報告されています。
 袋詰め商品には、要冷蔵の旨をはっきりとわかりやすく表示することで防げた事例です。

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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