衛生管理(II)|腐敗と変敗

食品の腐敗や変敗また発酵と腐敗などについて解説していきます

腐敗と変敗

 食品は放置しておくことで腐ってきます。見た目が変化したり、匂いを発したりもちろん味も変化してくるでしょう。
 食品の中ではどのような変化が起こっているのでしょう。

 

 食品の腐敗は、たんぱく質や炭水化物などが微生物によって分解されることで起こり始めます。

 

 微生物の働きで、アンモニアや硫化水素、酪酸などという悪臭を放つ成分が生成されます。そして、ついには食べられなくなってしまいます。

 

 このような一連の現象を腐敗と呼んでいます。

 

 それでは、魚が生臭くなってきたりバターが酸化して風味が劣化した場合、まだ可食性を完全に失ってはいません。
 生臭くても調理方法で臭みを消したり、バターも我慢すれば食べることができます。このような場合、変敗と呼んで、腐敗と区別しています。

 

 腐敗した食品の中では、どのようなことが起きているのでしょう。

 

 腐敗は食品中に微生物が増殖することで起こり結果的に可食性を失った状態です。
 このような状態になるまで、微生物は食品1g中に10?〜10?程度の菌数が必要といわれています。
 微生物の種類は様々で特に限定するものではありません。

 

 また、紛らわしく感じますが、腐敗した食品を食べても下痢や嘔吐を引き起こすものではありません。

 

 腐敗した食品が、そのまま食中毒を引き起こすというわけではありません。
 食中毒は食品衛生上問題となる特定の病原微生物が食品中で増殖したり、毒素を生成しその食品を食べることで発症します。
 さらに、食中毒を引き起こす食品は、腐敗した食品や変敗した食品と異なり多くの場合、見た目上の変化を伴いません。
 ですから、匂いや見た目で判断することはできません。

 

 

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腐敗と発酵

 発酵もまた微生物の働きで食品を分解することで、独特の風味や味をつくりだします。

 

 微生物学的には同じ変化でも、腐敗と呼んだり発酵と呼んだりします。

 

 結果的に人間にとって有用な場合発酵と呼び、反対に有害な場合腐敗と呼んでいるのです。

 

 ですから、しばしば食べ慣れていない発酵食品は腐敗した食品と感じることがあります。つまり、その人にとっては腐敗であるということもできるでしょう。

 

腐敗と微生物

 腐敗は微生物によって引き起こされるわけですが、微生物が付着したタイミングで大きく2つに分けることができます。

 

 一つは、食品にもともと付着していた微生物です。これを一次汚染微生物といいます。

 

もうひとつは、流通や加工の過程で付着した微生物です。これを、二次的汚染微生物としています。

 

 一次汚染微生物は、農畜産食品で、生育環境や体内の微生物の影響を受けます。

 

 二次的汚染微生物は、特定は非常に困難で加工工場内や流通経路、加工従事者の衣服や手指などさまざまです。
 大事なのは、腐敗速度は、はじめの菌数の影響を強く受けます。

 

 食品の取り扱いに注意し汚染を減らすことは食品を保存するうえで極めて重要です。

初期腐敗の鑑別

食品の腐敗は一様ではないので、一律に鑑別するのは困難です。
どのような方法で鑑別されているのでしょうか。

 

 一つは、官能的方法です。人間の味覚や嗅覚、触角など五感を使い鑑別します。人間が鑑別するので、より直接的な検査になります。
 しかし、客観性に欠けるという点もあり訓練を受けた者が行うことや複数の担当者で評価するなどの対策が必要です。

 

 細菌学的方法は、菌数を測定することで行われます。
 一般に、35℃で24〜48時間培養し、菌数を数えます。生菌数が10?〜10?になると腐敗に達している基準になります。

 

 科学的方法では揮発性塩基窒素を計測して鑑別します。食品中のアンモニアやトリメチルアミンの存在を確認する方法です。

 

 

 

 

 

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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