比較のルール

錯覚にもにた比較のルールとはどのようなものなのでしょうか

 

恩義のルールでもご紹介した親子の会話でも比較のルールが使われています。
→恩義のルール

 

つまり、子供はより大きな要求を先に提示しています。この場合は「おもちゃ」ですが一般的に「アイス」より高価な事が多いです。
この「おもちゃ」と「アイス」の差が大きければ大きいいほど、本来の要求である「アイス」がより小さな要求に思えてくるのです。
この様な作用を比較のルールと呼びます。

 

この比較のルールは現代社会の中で良く目にすることができます。
もっとも身近な例では、スーパーの値引きです。

 

本来必要のないものでも「3割引き」のシールが貼ってあると思わず手にとって見たくなります。

 

さらにこれが「半額」シールであればその効果はさらに強くなります。

 

また、笑い話として良く話題になる話に不動産屋さんの話があります。

 

最初に、高く粗悪な物件をお客様に見せます。そのあとに、本来売り込みたい物件を見せるという話です。
これも、比較のルールが作用しています。ある不動産やでは比較用の物件をわざわざ用意しているなどという噂なども笑い話と一緒にまことしやかに伝えられます。

 

実際のところ私はそのような不動産屋さんは出くわしたことはございませんが、人の心理をうまく利用した方法として噂が広まっていくのでしょう。

 

このような噂話によってこの比較のルールを理解する人が増えるとその効果は薄れていくのではないかと思いませんか?

 

私がマジックの種明かしよろしく、このようなことを書いていると不動産屋さんから「営業妨害だ!」とうったえられてしまうのでしょうか?

 

 

以前にも書きましたが、このような心理学者の発見したルールというのは実はそう簡単に逃れることのできない人間の本質に近い部分に作用しているようです。

 

実際、私は家族の夕食を作る機会が多いのですがこの比較のルールによって献立が変更される事がたびたび起こります。
むしろ、メニュー通りいくことの方が少ないくらいです。

 

この比較のルールについて、強力で副作用のあるルールであるかを示した興味深い実証実験の結果がありますのでご紹介します。

 

 

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ボランティア活動

 

カナダで行われた実験です。

 

被験者に精神衛生センターでに1日2時間のボランティア活動をお願いします。

 

「イエス」と応じた被験者は29%だったそうです。

 

多いと思いますか少ないと思いますか?
商売をされている方はかなり多いと感じるのではないでしょうか?

 

実際、商売をしているとなかなかこのような数字は出てきません、この実験はボランティアという社会正義というお願いなのでこの程度の数字になったのではないでしょうか。

 

まぁそれでも7割の被験者は「ノー」でした。

 

比較のるーるを使うと・・・

 

このケースは、先によりおおきな要求つまり最低2年間、週に2時間のボランティアを提示してから、本来の要求1日2時間のボランティアをお願いします。

 

どんな結果が出たと思いますか?

 

結果は、「イエス」76%でした。

 

先ほどと比較するとおよそ2.5倍になりました。

 

この実験では、さらに「イエス」と答えた被験者が実際にボラティアに参加するかも調べました。

 

結果は、本来のお願いだけをした場合実際に参加した被験者は50%、先により高い要求をされた被験者は85%です。
これは、恩義のルールの影響ではないかと推測できます。

 

つまり、心理学を使うことで要求者にとってより都合のよい結果が出たことになります。

 

あなたならどう考えますか?

 

本来の要求以上のことを吹っ掛けられたと憤慨してしまうのではないかと思いませんか?

 

そのことを知る助けとなる実験も行われています。

 

献血キャンペーン

この実験は大学生を被験者として行われました。

 

大学で毎年行われている献血キャンペーンで、500mlの献血をお願いするのですが1つのグループには先に3年間6週間ごとに500ml献血をお願いしてから本来の500ml献血1回だけに引き下げてお願いします。

 

両方のグループから実際献血してくれた人を対象に新たな要求をしてみるのです。

 

「献血の必要な時に連絡を取りたいので、電話番号を教えてくれませんか?」

 

どうなったと思いますか?

 

 

3年間6週間ごとに500mlを要求さて次に1回だけでもといわれしぶしぶ要求に応じた大学生、さらに必要な時連絡したいから電話番号を教えろ?。

 

これでは俺は”歩く血液センター”じゃないか?
冗談じゃない、断る!

 

 

 

となりそうに感じますよね。

 

しかし、結果は真反対を示します。

 

先に高い要求をされてから引き下げて要求されたグループの電話番号を教えてくれた確立は実に84%
脅威的な確立です。

 

では、本来の要求のみを行われたグループの確率はどうでしょう。

 

ほぼ半数の43%ほどしかいなかったようです。

まとめ

 

比較のルールについて、実験結果などを交えてご紹介しました。

 

このように、心理学の知識を持って要求を行うと驚くような結果が出ることがたびたびあるようです。

 

客観的にみていると、おかしいと思うことも自分の身近で起こることで全く違った結果になってしまうことがあるようです。

 

そして、多くの人が同じような行動をとってしまうということです。

 

私もその一人です。

 

スーパーの安売りは、こちらにも多大なメリットをもたらしてくれます。

 

しかし、悪用し利益をむさぼるようなことがあってはたまったものじゃありません。

 

このような、心理作用が働くことを理解しておくだけでもその魔の手から逃れる助けになるのではないでしょうか?

 

 

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文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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