カマの作業の効率化

カマの作業効率の改善を考えていきます

カマの作業は重労働かつ繊細さも求められ、工場によっては司令塔の役割を持つことも多いです。
お客様から一番近い場所でもあり、多少の接客もこなさなければいけないパン店も多いでしょう。

 

今回は、カマの作業効率の改善について考えてみましょう。

 

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製パンとしてのカマ作業

まずは、製パンの点からカマの作業を見ていきましょう。

 

製造計画はカマの能力を考慮して組まれていくことが多いです。

 

それは、いくらその手前で効率を上げようと頑張ってもカマの能力以上は焼くことができないからです。

 

小さなパン店では、6取りというサイズの天板が4枚入るカマが2段程度ということも多いです。

 

2段あわせても3斤の食型が24本程度一度に焼けるくらいのオーブンです。

 

特に急いで仕込んでいなくても気を抜くと次々にパンがカマに入れられない状態つまり”ぶつかる”という状態に陥ってしまいます。

 

私も慣れないうちは良くカマをぶつけてしまい、先輩に怒られる事もしばしばありました。

 

どうしたらカマを上手く操作できるか

では、どうしたらカマを上手く操作できるようになるのでしょうか?

 

一番重要なのは、先を見通す力です。

 

分割〜成形作業の効率化の項でも書きましたが先行意識が大事になってきます。
カマの場合、分割〜成形作業のときよりもう少し長い時間で意識を先行させるとよいでしょう。

 

15〜20分の先行意識と概ね1時間の先行意識を使います。

 

15〜20分の先行意識は今焼いているパンが焼き上ったあと自分は何をしているかを考えるとよいでしょう。

 

1時間の先行意識では、今成形しているパンがホイロを終了してカマに入る時間です。
1時間後カマは空いているでしょうか?

 

反対に1時間後にカマを開けるには、今どんな作業が必要でしょうか?

 

この考えが、カマの作業改善で一番重要になります。この思考をマスターすることでカマの能力を最大限に使うことができます。つまり、効率を最大化させることができます。

 

次に大事なこと

次に重要なことは手先の速さです。

 

もたもたしているとあっという間に5分10分と無駄な時間を過ごしてしまいます。

 

効率の良い作業は見ていても美しいものです。
その美しさはどこから来るのか、良く研究しなくてはなりません。

 

塗り卵の塗り方1つとっても、刷毛の持ち方はどうですか?パンの表面は適度に乾かしていますか?それとも濡れているでしょうか?
すべてに意味があります。

 

ホイロを終了するまで、指をくわえて待っている暇はありません。

 

準備を進め、自分の実力にあわせ早めにホイロから出すことで多少の時間的余裕を作ることができます。

 

これから行う作業をさらに次にカマ入れするパンに間に合うように作業できるか判断し難しい場合は無理せずホイロの温度を下げることも検討しましょう。

 

カマの温度設定

カマの温度を変更する場合、ある程度の時間が必要になります。多少裏技的手法ですが覚えておくと役に立つことがあるでしょう。

 

上げガマ

菓子パンを焼いた後フランスパンを焼くときは、60度程度カマの温度を上げなければいけません。

 

カマの能力にもよりますが15分程度要する場合があります。

 

このような時は、菓子パンが焼き上がる前に温度設定を変更しておくことで変更に必要な時間を短縮することができます。この場合の菓子パンのカマ出しをのんびりやってしまうと効果が薄くなります。
すばやくカマ出しするようにしましょう。

下げガマ

反対に温度を下げる場合は、60度を一気に下げるのは無理があります。特に下火は蓄熱しているので温度表示が下がっても焼いている間に徐々に温度が戻ってきます。

 

この場合、からの天板を3枚程度重ねてカマに入れます。数分後取り出すとそこそこ温度を下げることができます。しかし、それもカマのクセを熟知している必要があります。

 

様子を見て下火が強いようなら下天といってパンの乗っている天板の下にもう一枚天板を重ねてしまいます。

 

もっと下火を弱くしたい場合はひっくり返した天板を下に敷く方法もありますがこれは、ロールケーキで使うようなシートスポンジを焼くような極端な例になりますので、パンではほとんど使いません。

 

まとめ

これから、カマ作業をマスターする方は今説明した細部の部分も意識してみてください。
一度身についてしまうと、意識せず行っていることも実はそれに気づくまで先輩がたも大変苦労したのではないでしょうか。
そして、以外に重要だったりします。

 

これらを意識すると、より早くカマ作業をマスターできるでしょう。

 

 

 

 

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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