ケーブインの予防

焼成後にパンがへこんでしまうケーブインの予防法

特にイギリスパンや食パンで起こる、焼成後のへこみや腰折れ(ケーブイン)であるがいくつかの原因が考えられる。
ここでは原因別に対処法を解説していく。

 

焼成不足

 

これは非常に分かりやすい原因である。そもそも焼き色を見ると焼成不足かどうか判断できる。
パンは焼成が進むことで皮(クラスト)部分の水分が抜け、カラメル化反応やメイラード反応を起こし色づいていくと同時にクラストの水分がどんどん抜けていくことで強い骨格が形成される。
これら一連の物性変化が十分に行われなかった場合、やはりクラストは脆弱となり自重に耐えられなくなり結果的にケーブインという欠陥が現れる。

 

焼成不足が原因の場合は、当然焼成時間の延長や焼成温度を高くすることでケーブインを抑えることができる。

 

不適切な生地重量

 

こちらは、イギリスパンや食パンの場合であるが、極端に生地重量を多くしてしまうことで自重に耐えられなくなるケースである。この場合適切な生地重量を探して変更していく必要がある。

 

生地が柔らかすぎる

 

生地の吸水が多くなると、仮にしっかりと焼きこんだパンであっても時間の経過とともにクラムからの水分によりクラストが柔らかくなりケーブインを起こすことがある。
この場合自重との兼ね合いもあるので、何パーセント以下というような基準があるわけではないが吸水を調整することでケーブインを抑えることができる。

 

工程に問題がある場合

 

発酵過多の場合や不十分なミキシングや余り生地を大量に添加した場合などにケーブインを起こすことがある。
この場合、カマ入れ後にすでに生地の収縮が起こっているため焼成を延長しても対処することができない。

 

適正な工程管理と余り生地の添加量の上限を決めておくことなどが対処法となる。
余り生地は重量比で15〜20%にとどめるようにするとよい。

 

全般的なケーブインの軽減法

 

工程に問題がある場合を除き、ケーブインはクラムからクラストへの水分移行で起こることからカマ出し後にショックを与えることである程度軽減できる。

 

焼きあげ直後のパンの内部には大量の水蒸気がある。ショックを与えることでこの水蒸気を追い出し外の空気と入れ替えることでその後の水分移行の程度を軽減できるのである。

 

方法としては、作業台の10cm程度上から落下させるとよい。
余り、強く何度もショックを与えると焼き立ての柔らかいクラム部分を損傷してしまうのでショックを与えるのは1回で十分である。

 

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まとめ

 

ケーブインの予防法をご紹介したが、ショック法はパン職人の間では日常的に行われている方法である。
今一度、原理や方法を確認してみるとよいだろう。

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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