牛乳および脱脂粉乳の解説
牛乳および脱脂粉乳がもたらす作用についてみていきましょう。
牛乳、脱脂粉乳
製パンにおいて牛乳は焼き色を良くし風味を与えてくれます。
またミルクフレーバーは老若男女を問わず好まれるものです。
さらに生地の保水性を補助的に高め老化を遅らせることにも一役買ってくれます。
スコーンなどではつや出し用に塗布することもあり。
卵とは違った品のあるツヤと焼き色を演出してくれます。
発酵に与える影響
加熱殺菌していれば発酵に悪影響がないという文献も見受けられますが
配合量が多いと発酵の遅れを感じることがあります。
これは、酵素の一部が失活せず残っていることがあるのではと推測してます。
この場合、一度沸騰させ冷却したものを使用すると改善します。
また、極端に牛乳の配合が多い生地については脱脂粉乳と併用して牛乳の量を
下げることも有効です。
ミルクフレーバーは加熱することでより強く感じることが知られています。
脱脂粉乳のほうが匂いを強く感じるのはこのためです。
反対に低温殺菌乳は、味が薄く感じることがあるでしょう。
これも、同じ理論と考えています。
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牛乳と脱脂粉乳の置換計算
レシピで牛乳と書いているけど、脱脂粉乳を使いたい場合があるかと
思います。
そんな時は、牛乳と脱脂粉乳の置換計算は、10:1です。
つまり次の良な式が成り立ちます。
牛乳100g≒脱脂粉乳10g+水90g
脱脂粉乳の活用
近年のバター不足はさまざまな要因で起きているようです。
脱脂粉乳の消費量の減少も一因となっているという一部の報告もあります。
戦後の食糧政策のイメージで時代遅れの原材料と感じる方もいるかもしれませんが
製パンにおいては非常に優れた加工乳製品であることを忘れないでほしいものです。
保存性も高く、牛乳と比較すると輸送コストもくらべものにならないほど低く抑える
ことができます。
保存時の注意点としては、吸湿に注意が必要です。
先にふれたミルクフレーバーも牛乳を使用するよりも強く出すことができます。
また発酵に対して牛乳のような影響はなく安価であり今でも広く製パンに活用されている原材料です。
使用上の注意としては、湿気を帯びてダマになりやすいので吸水の一部で溶解するなど対策が必要です。
配合量が3%程度であれば小麦粉と軽く混ぜ合わせておくことで、長時間放置しなければ十分ダマを抑えることができます。
計量の時は乾いた器具を使用すること、また計量後は袋の口を閉じておくことを徹底することが保管するうえでの
注意点となります。
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