職人としてのカッコよさ|河田 勝彦氏を読む

伝統こそ新しい|河田勝彦著

 

職人 河田勝彦

 

河田勝彦氏、彼にはパティシエというよりは職人という言葉ぴったりではないかと私は思います。

 

現在は多くのパティシエがフランスへと向かい勉強されています。

 

河田氏はそんなフランスへ向かう日本の若者の最初の一人だったのでしょう。
しかし、今ある華やかなフランス菓子とは違うもっと個性的で主張の強い菓子に魅せられ、独自の解釈を加え徐々に日本人にフランス菓子を浸透させていったようです。

 

現在はフランス菓子の華やかな部分ばかり注目されがちですが本質を理解し作り上げられた菓子は、そのような扁平な菓子とは違い食べるものを翻弄しときに感動させるもののようです。

 

私も彼の店オーボンヴュータンを訪れ店名の付いた菓子オーボンヴュータンをイートインでエスプレッソとともにいただいたことがあります。

 

一口、口にすると作り手の力ず良さに戸惑うほどの衝撃を受けました。
そこには、職人 河田勝彦の思いや精神がつまっているのでしょう。

 

伝統こそ新しい

 

この伝統こそ新しいは伝統にベーシックとルビがふってあります。

 

このベーシックとは、製菓におけるベーシックな製法つまり基本を大事にすることの大切さが新しいものを作り上げていくという彼の精神が題名になっているのではないでしょうか。

 

形や華やかさが先行する現在の洋菓子への警鐘にも思えてきます。

 

以前、私は上司にムースとババロアの違いを説明するよう求められました。

 

ムースの製法やババロアの製法、レシピの違いを言うと首を横に振られ違うといわれました。

 

当時、ムースばかり作っていたので、ババロアがどのようなものか理解していませんでした。
あるとき、これがババロアだといわれ食べたババロアに衝撃を受けたのを覚えています。
ムースの口どけとは全く違く、しっかりとした歯ごたえと力強さを備えていました。

 

今は、洋菓子屋さんではムースを多く見かけます。やはり量産しやすく、飾りやすい利点があります。
このような方向に流されてしまっては、本来のフランス菓子の魅力である多様性が失われるのではないでしょうか。

 

そのような、大きな流れに対し抗い続ける泥臭い職人、それが私のイメージする河田勝彦氏です。

 

そんな彼の半生と彼のレシピとともにこの本は進んでいきます。

 

古き良き時代”オーボンヴュータン”を感じることのできる一冊だと思います。

 

是非一度、読んでみてください。

 

 

 

 

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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