恩義のルール

恩を返さないのは非常識なこと?

 人は、他人から何かしてもらうと恩を返そうとする傾向があるようです。

 

 しかし、この恩義のルールは人間に強く訴えかけてくるようです。

 

 街でポケットティッシュが配られたりサービス券が配られたりしていますが、現代の日本人は簡単によそをむいて通り過ぎることなど容易くできてしまいます。

 

 恩義のルールは今の日本では通用しないほど弱くなってしまったのでしょうか?

 

恩義のルールとは

 

 コンビニのトイレには必ずと言っていいほど「きれいに使っていただいてありがとうございます。」といった内容のコメントが掲示されていますよね。

 

 あの掲示も恩義のルールにあたります。

 

 昔であれば「トイレはきれいに使いましょう」と書くところですが、先にありがとうございますと表明してしまうので、そのコメントを見た人はお返しをしようとします。つまりトイレをきれいに使ってくれるということになります。

 

 多くのコンビニで掲示されてるところをみるとどうも一定の効果が期待できるのでしょう。

 

 もっと簡単な例では、子供におもちゃをせがまれます。

 

子供 「おもちゃ買って、おもちゃ買って!」
親   「このあいだ、買ってあげたじゃない!」

 

子供 「じゃあ、アイス買って!」
親   「………しかたないなぁ」

 

この例も恩義のルールが当てはまっています。
子供は、先に譲歩した見返りとしてアイスを手にしたことになります。

 

この場合は子供の方が一枚上手だったようです。

 

この例は、実際に自分でも恩恵を受けています。
つまり、トイレの掲示ではお礼をされたこと、親子の例では第一の要求を取り下げたことが恩恵にあたります。
しかし、自分の望まないものを受けて場合にもこの恩義のルールが適応される事があるようです。

 

 

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宗教団体の資金集め

アメリカのとある宗教団体は、道行く人の花をプレゼントするそうです。
その光景を心理学者が興味深く観察、記録したそうです。

 

歩いてくる人に突然その教団の信者が花をさし出すそうです。
面喰って、多くの人は受け取ってしまいます。

 

ほとんどの人が直後に「いらない」と言って返すそうです。

 

しかし、信者は絶対受け取ろうとはしません。
「教団の贈り物ですから受け取ってください。・・・ですが、教会の慈善活動のために寄付をいただけると嬉しく思います。」

 

もう一度、「花はいらないんだ。引き取ってくれ!」強い口調で返そうとしますが

 

「教団からの贈り物なので、どうぞ」

 

ここで、花を受けっとった人は全く自由なはずです。
花を投げ捨てて立ち去っても良いでしょうし、花をありがたく頂戴して去って行っても良いです。

 

しかし、花を受けっとった人は恩義のルールに勝つことはできませんでした。
そのまま、立ち去ろうと試みますが結局はポケットから小銭を出して寄付をしてしまいました。

 

この話には面白い続きがありました。

 

この信者たちは、自分達の贈る花を相手が望んでいないことを良く理解していたのです。

 

花を受け取った人達は、近くのゴミ箱にポイっと捨ててしまいます。
その捨てられた花を広い集めて再び、道行く人にプレゼントしていたそうです。

 

呆れてしまいますね。

恩義のルールのかわしかた

恩義のルールは社会で健全に機能している場合は問題ありません。

 

しかし、悪用されたら困りますよね。
でも、恩義のルールは強力に我々に恩返しを迫ってきます。

 

こんなとき、いいアドバイスが載っていましたのでご紹介します。

 

その方法は、恩は素直に受け取ることです。
先ほどの宗教団体の例では、花はとりあえず受け取っておくということです。
そのうえで、恩返しの約束をしておくことです。

 

たとえば、「寄付は後でします」などと伝えるのです。
そうすることで、恩義のルールを守ることができその場を去ることができます。

 

去った後は、悪用された恩義のルールであればそれなりの対応を取ることができます。

 

善意による恩義のルールであれば、なんかの機会に恩返しすればいいわけです。

まとめ

いかがでしたか?

 

恩義のルールは、社会性に根ざしているようです。

 

恩返ししないことは、反社会的な行為であるかのごとく我々に迫ってきます。
心の中で「自分は恩返しできない非常識な人間なんかじゃない!」と鳴り響きます。

 

悪用している人からすると「思うつぼ」なわけです。

 

怪しいなと思ったら、「お返しは後ほど!」と軽くいっておきましょう。

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恩義のルールについて、詳しく解説されています。興味のある方は読んでみてください。

 

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文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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