クープの開きについての考察
クープの開きがきれいなフランスパンは見た目にも美しく、開きの悪いものと比べると水分の抜けも良く食べても美味しいものである。
しかし、きれいにクープを開かせるには熟練が必要で最初のうちは悩むことの多い工程でもある。
ここで、私なりにどのような感覚を持ってクープ入れを行うかまとめてみようと思う。
カマの違い
一番影響があるのではないかと思うのが、オーブンの違いである。
やはり、フランスパン専用ガマは、あまりクープの入れ方に気を遣わなくてもきれいに開いてくれる。
一般的なデッキオーブンなどと呼ばれるオーブンは、ちょっとしたミスでクープが開かないことがある。
何が違うかというと、やはり保温力が違うのではと推測する。
カマ入れ後、ぐっと温度が下がるが保温力がたかいオーブンではやはり回復が早いため、短い時間でオーブンスプリングを起こすことができる。
そのため、安定して焼成出来るのであろう。
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デッキオーブンでの対応法
前述のことから、デッキオーブンで焼成する場合は焼成温度を5〜10℃高めに設定しておきカマ入れ後、設定温度を下げて焼成する方法が有効であると考える。
このことで、比較的保温力の弱めのオーブンでも良好にクープを立たせることができる。
スチームの注入
スチームの注入法でもクープの開き方に違いが出てくる。
スチームが多いとクープの切り口がくっついて開かないことがある。反対に少なすぎると引きちぎれたような切り口になりやすい。
安定した注入法としては、カマ入れ前後にスチームを注入する方法を勧めている。
カマ入れ前にカマの中にスチームを入れ、蒸気が落ち着いてきてからカマ入れを行いカマ入れの際逃げた蒸気をカマ入れ後に追加するというイメージでスチームを注入する方法である。
カマ入れ前だけの場合は、蒸気が逃げる分を想定して多めのスチームを注入することになりカマの温度を下げてしまう。
カマ入れ後でけであれば、前後の注入に比べ注入量が増えるため、蒸気吹き出し口付近と離れた場所で蒸気ムラが出てしまう。
このため、カマ入れ前後の2回の注入が安定していると判断している。
カマ入れ前生地温度
さらに、カマ入れ前の生地温度も重要である。特に温度が低い場合、生地がダレてクープが上手く開かないことがある。
捏ねあげ温度の調整や環境温度の調整で対応すると、良好なクープ立ちがおこる。
さらに、パンチの強さや成形の締め具合でも当然ながらクープに影響してくる。
まとめ
あまり、見た目の美しさにとらわれすぎるのも本意ではないが、良好なクープ立ちは見た目もさることながら、食べても美味しいパンに焼き上がっているはずである。
クープを立てんがために、吸水を減らし、パンチを強くして、イースト量を増やすなどは論外で本末転倒である。
是非、熟練の技によって良好なクープ立ちを目指してほしい。
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