衛生管理(I)|食品保存

食品保存について解説

 食品の適切に取り扱うことは、食品加工業者のみならず、流通業、販売業でも広く求められます。
 ここでは、適切な取り扱いのうち、食品保存について解説していきます。

食品の保存

 食品を安全の保存することは、古くは塩漬けや乾燥などで行はれてきました。安定して食糧を摂取するため、経験を繰り返した先人の知恵です。現在ではさらに技術の発達で冷蔵や冷凍を使い保存することができるようになり、豊かな食生活にも貢献しています。

 

 食品の保存法を見ていきましょう。

食品の保存法
  • 物理的処理…冷蔵冷凍法、加熱殺菌法、乾燥法、脱酸素法、遮光法、放射線照射法
  • 微生物処理…細菌・酵母の利用、カビの利用
  • 化学的処理…塩蔵法、酢漬け法、砂糖漬け法、保存料の使用
  • 総合的処理…薫煙法、塩乾法、凍結乾燥法、凍結法、真空包装、缶詰、ビン詰め、など

 

 

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冷凍・冷蔵法

 冷蔵庫や冷凍庫を利用して低温保存することで、微生物の増殖を抑えて腐敗を防ぐ方法です。

 

 冷蔵とは、概ね0〜10℃の温度で食品を凍結させずに保存します。
 冷凍とは−30〜−35℃で急速に凍結させた後−15℃以下で凍結保存します。

 

冷蔵・冷凍で流通させなければならない食品

 食品衛生法で定められた食品は、冷蔵・冷凍で流通させなくてはいけません。
 食品衛生法で定められている食品は、食肉、鯨肉、ハムやソーセージなどの食肉加工品(一部、特殊な殺菌したものを除く)、ゆでだこ、生食用かきは10℃以下で、さらに冷凍食肉製品、冷凍魚肉練り製品、冷凍ゆでだこ、冷凍生食用かきおよび、これら以外の冷凍食品−15℃以下で保存するよう定められています。

 

冷凍・冷蔵の注意点

 冷凍状態でも細菌は生きています。解凍の際常温で放置したりすることで、細菌が急激に増殖することがあるので注意が必要です。
 解凍後は速やかに使用するようにしましょう。
 また、冷蔵庫・冷凍庫の温度管理も重要になります。定時チェックを作成し温度管理するとよいでしょう。
 庫内の整理・整頓も大切です。また食品相互の汚染も防ぐようにしましょう。

加熱殺菌法

一般に細菌は63℃で30分の加熱で死滅しますが、耐熱性の細菌では120℃で20分の加熱が必要となります。
また、酵素を失活することで食品の保存性を高めることができます。

  • 低温殺菌…63〜65℃で30分加熱します。牛乳、果汁、酒などで行われていますが、すべての細菌を死滅させることはできないので保存性はやや劣ります。しかし、製品の風味や栄養素を損なわない点で優れているといえます。
  • 超高温殺菌…スーパーなどで売られている牛乳の表示を見るとよく見かけることがあります。120℃〜135℃で2〜3秒の加熱です。効率良く大量生産に向いています。
  • レトルト殺菌…缶詰やレトルト専用のパウチパックなどを利用して圧力を加え120℃で4分以上加熱します。耐熱芽胞菌も殺菌できるので、長期保存が可能になります。

乾燥法

 微生物が増殖するために必要な3要素栄養、水分、温度のうち、乾燥によって水分を取り除くことで微生物の増殖を抑える方法です。
 天日乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などがあります。

脱酸素法

 細菌の多くは好気細菌で増殖に酸素を必要とします。真空パックや脱酸素剤封入によって無酸素状態を作り細菌の増殖を押させる方法です。また、食品の酸化による風味低下を抑えてくれます。

放射線照射法

 放射線を照射して保存性を高める方法です。
 コバルト60のガンマ線を照射する方法がジャガイモの芽止めに認められています。

 

細菌・酵母の利用による保存

 味噌、醤油、チーズなどが代表的です。食品を有用な細菌や酵母で満たして、その他の有害な細菌を抑える方法です。

 

その他の保存法

 その他に食品添加物を利用する方法や塩や砂糖を使い自由水を減らし細菌の増殖を抑える方法、食酢を利用して、微生物を抑える方法などがあります。

文:佐藤 俊昭

 

 

 

 

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